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運用型広告とは
運用型広告とは、インターネット上のユーザーに対して期待する反応(商品購入やブランド認知など)を獲得するため、リアルタイムに費用やターゲティング、クリエイティブ等を変更・改善できる広告です。運用型広告の掲載はオークションで決まり、規定の料金を支払うと掲載が保証される純広告(予約型広告)とは対比の関係にあります。
株式会社電通が発表している『2020年 日本の広告費』では、純広告・タイアップ広告・アフィリエイト広告は、運用型広告としては定義されていません。
運用型広告の市場規模(2020年最新版)
株式会社電通が発表している『2020年 日本の広告費』によると、2020年の日本の総広告費は6兆1,594億円となっています。
内訳に目を向けると、新聞広告、雑誌広告、テレビメディア広告、ラジオ広告のマス4媒体が伸び悩むなか、インターネット広告費は2兆2,290億円(前年比105.9%)と右肩上がりの成長を続けています。インターネット広告費の中でもリスティング広告を中心とする運用型広告費は前年比109.7%の1兆4,558億円規模に達しています。
運用型広告の分類
運用型広告は、配信面(アドネットワーク、媒体)の特性で考えるとモレなくダブリなく分類できます。大きくは、検索広告・ディスプレイ広告・ソーシャル広告・ニュースアプリ広告・その他メディア広告に分類できます。また、検索広告とディスプレイ広告を合わせてリスティング広告として扱うケースと、検索広告=リスティング広告として扱うケースがあるので覚えておきましょう。
上記の分類は、あくまで本ブログにおけるものです。実際、Google広告やFreakOutなどの出稿サービスで分類するケースや、検索広告やリターゲティングなどのターゲティング(プロダクト)で分類するケース、テキスト広告やバナー広告などのクリエイティブで分類するケースもあります。ただ、多くの出稿サービスでリターゲティングやバナー広告を利用できますし、独自の配信面を保有していない出稿サービス(主にDSP)が多いことを踏まえると、配信面の特性で分けるのが最もモレとダブリが少ない分類の仕方だと思います。
検索広告
ユーザーの検索語句と連動してGoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果に表示される広告です。検索広告の代表的なアドネットワークは、Google検索ネットワークとYahoo!スポンサードサーチです。
Google検索をはじめ、Google Play・Google ショッピング・Google マップなど、Googleの各サービスの検索結果や、gooなどのGoogle検索パートナーサイトの検索結果を抱えるアドネットワークです。
Yahoo!JAPANの検索結果や、bingなどのYahoo!検索パートナーサイトの検索結果を抱えるアドネットワークです。
ディスプレイ広告
ブログやアプリなどのWEBコンテンツに表示される広告です。ただし、SNSやニュースアプリに表示される広告は、ソーシャル広告やニュースアプリ広告として分類されるケースが多いです。ディスプレイ広告の代表的なアドネットワークは、GoogleディスプレイネットワークとYahoo!ディスプレイアドネットワークです。
Google Adsense(アドセンス)を利用しているWEBサイトや、モバイルアプリ、Gmail、Youtube上の広告枠を抱える巨大なアドネットワークです。
Yahoo!JAPANのトップページや、Yahoo!知恵袋などの各サービス、クックパッドなどのパートナーサイト上の広告枠を抱えるアドネットワークです。
ソーシャル広告(SNS広告)
FacebookやTwitter、Instagram、LINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に表示される広告です。
SNS「Facebook」のニュースフィードなどに広告枠があります。
SNS「Instagram」のニュースフィードやStories機能に広告枠があります。
SNS「Twitter」のタイムラインや検索結果、プロフィール画面に広告枠があります。
SNS「LINE」のLINE VOOM(旧タイムライン)、トークリストの最上部、LINEニュース、LINEマンガに広告枠があります。
ニュースアプリ広告
SmartNewsやGunosyなどのニュースアプリに表示される広告です。※Yahoo!ニュースアプリはYahoo!ディスプレイアドネットワークに属するため、本ブログではディスプレイ広告として扱っています。
ニュースアプリ「SmartNews」のコンテンツ内に広告枠があります。
ニュースアプリ「Gunosy」のコンテンツ内に広告枠があります。
広告運用とは
運用型広告を扱っている人のことを広告運用者と呼びますが、広告運用とは、広告主の目的を達成するため、広告費を投資し、リアルタイムに費用・ターゲティング・クリエイティブを変更・改善できる運用型広告の機能を活用することです。つまり、費用・ターゲティング・クリエイティブの変更を定期的に行っていても、そのアクションが広告主の目的達成につながっていなければ、広告を運用できているとは言えません。
1.そのもののもつ機能を生かして用いること。活用。
2.金銭を利殖などの目的のために他の財産形態に変えること。
運用(ウンヨウ)とは-コトバンク
運用型広告=投資であり、工数に対していくらの利益が上がったかという工数対効果の視点と、広告費に対していくらの利益が上がったかという費用対効果の視点が必要なのです。
運用型広告の三大機能
広告運用は運用型広告の機能を活用して広告主の目的を達成していくことです。そのため、広告運用を成功させるには、運用型広告の機能をきちんと理解しておく必要があります。運用型広告の機能は大きく分けると3つあります。
入札(Bidding)
運用型広告の掲載は、入札金額や広告品質などから算出されるオークション指標を用いて他社の広告と入札競争を行うことで決定します。運用型広告の入札機能は、オークション指標の一部である入札金額を調整できる機能です。広告主は目標とする獲得単価や獲得件数、上限予算に合わせて最適な入札金額を設定できます。
※課金体系の一例
- クリック課金型
- インプレッション課金型
- 視聴課金型
- アクション課金型
※入札形式の一例
- 手動入札
- 上限クリック単価
- 上限インプレッション単価
- 上限視聴単価
- 上限アクション単価
- 自動入札
- 目標コンバージョン単価
- コンバージョン数の最大化
ターゲティング(Targeting)
運用型広告のターゲティング機能は、Google 広告などの配信プラットフォームが保有するデータや、顧客のメールアドレスなどの自社が保有するデータを活用して、特定のユーザーや広告枠を狙って広告を配信できる機能です。性別や年齢などのデモグラフィックデータはもちろん、検索広告であればユーザーの検索語句、ディスプレイ広告であれば広告枠が設置してあるコンテンツの情報などを用いて広告配信できます。
※プラットフォームが保有するデータ
- デモグラフィックデータ
- ジオグラフィックデータ
- サイコグラフィックデータ
- 検索行動データ
※広告主が保有するデータ
- メールアドレスなどの顧客情報
- LINEの友だち
クリエイティブ(Creative)
運用型広告におけるクリエイティブとは、多くの場合、ユーザーが広告媒体上で目にするテキストや画像で構成される広告と、その広告をクリックした後の飛び先(リンク先)ページを指します。運用型広告のクリエイティブ機能とは、Google 広告などの配信プラットフォームが用意している広告フォーマットに沿って広告を作成できる機能です。広告主はクリエイティブ機能を活用し、広告のテキストや画像、動画、リンク先ページを変更・改善しつつ、目的を達成していくことになります。
※広告フォーマットの一例
- 拡張テキスト広告
- レスポンシブ検索広告
- レスポンシブディスプレイ広告
- イメージ広告
- Gmail広告
- カルーセル広告
運用型広告の配信プラットフォーム
先述の配信面(アドネットワーク、媒体)へ広告を出稿するには、運用型広告の配信プラットフォームを利用する必要があります。広告を出稿できる配信面(アドネットワーク、媒体)や活用できる機能は配信プラットフォームによって変わってくるため、自社の目的達成に最適だと思われる配信プラットフォームを選択することが、運用型広告を成功させる大きなポイントになります。
Google 広告
Google 広告を利用すると、Google検索ネットワークとGoogleディスプレイネットワークへ広告を配信できます。Googleの保有する膨大なユーザーデータと精度の高い機械学習を活用して広告を配信できるため、最も成果を上げやすい配信プラットフォームの一つと言えます。
【入門記事】Google Ads(Google 広告)とは?初心者の方に基本をわかりやすく解説しますYahoo!広告
Yahoo!プロモーション広告を利用すると、Yahoo!スポンサードサーチとYahoo!ディスプレイアドネットワークへ広告を配信できます。Yahoo!JAPANの利用者も多いため、Google広告と併せて是非利用したい配信プラットフォームです。
Yahoo!広告(旧Yahoo!プロモーション広告)とは?初心者の方に基本をわかりやすく解説しますFacebook広告
Facebook広告を利用すると、SNS「Facebook」「Instagram」のニュースフィードへ広告を配信できます。Facebookの登録情報を活用したユーザー単位の精度の高いターゲティングが特徴です。
【入門記事】Facebook広告の基本をわかりやすく解説しますTwitter広告
Twitter広告を利用すると、SNS「Twitter」のタイムラインやプロフィールページへ広告を配信できます。Twitterの媒体特性より若年層へのリーチ・拡散性の高さ・ユーザーの最新情報を活かしたターゲティングが魅力的です。
【入門記事】Twitter広告の基本をわかりやすく解説しますLINE広告(旧LINE Ads Platform)
LINE広告を利用すると、SNS「LINE」のLINE VOOM(旧タイムライン)、トークリストの最上部、LINEニュースへ広告を配信できます。圧倒的なアクティブユーザーを持つアプリのため、リーチできるユーザーの規模も期待できます。
【入門記事】LINE広告(旧LINE Ads Platform)の基本をわかりやすく解説します運用型広告の用語
運用型広告の世界では、広告ランクやインプレッションシェアなどの専門用語や、CTRやCVRなどの略語が多く飛び交います。はじめは覚えるだけで大変だと思いますが、下の記事を参考に少しずつ理解を進めていきましょう。
これから広告運用を学ぶなら
これから広告代理店で広告運用を担当していく方は上司や同僚から多くのことを学べると思いますが、事業会社のマーケティング部署で広告運用を担当する・広告運用の代理店窓口になる方は、社内に詳しい人がいなくて勉強するのも苦労するかもしれません。
本ブログはそのようなインハウスマーケター・インハウス運用者が独学で専門知識を得られるようなコンテンツを用意したいと思っています。
ただ、コンテンツを読むだけじゃ理解が深まらない、同じような志を持つ仲間と学びたいという方は、下のようなマーケティングが学べる講座もあったりするので、一度検討されてみると良いかもしれませんね。