運用型広告のパフォーマンスはアカウント構成で大きく変わってきます。だからこそ、多くの広告運用者がアカウント構築に少なくない時間をかけているのだと思いますが、一体どんなアカウント構成がパフォーマンスを上げやすいのかというと、1広告グループ1キーワードだとかhagakureだとかMugenだとか、テクニックだったり概念だったりの話が出てきて、Googleを信じるか神(特定の運用者)を信じるかの、まるで宗教のよう…
なので、運用型広告における理想のアカウント構成について、できる限り言語化し、どうやってアカウントを構築していけばパフォーマンスを上げやすいか解説していきます。
※理想のアカウント構成を実現するための具体的な方法や設定は、主に案件・配信サービス・広告運用者によって変わってくるため、本記事では解説しませんがご了承ください。
目次
前提としてアカウントは広告戦略そのものだと理解する
まず、アカウントは広告戦略そのものであり、正しい広告戦略が反映されていないアカウントはどんな構成でも成果を上げることはできないということを理解しておきましょう。
一般に、顧客にある商品・サービスを購入してもらうためには、そのブランドのことを何らかの形で知ってもらう必要がある。マーケティングにおいてこの目的を果たすための中心となるのが広告戦略である。広告戦略は大きくクリエイティブ戦略とメディア戦略に分けられる。(中略)クリエイティブ戦略は、「伝えるべきメッセージづくり」である。(中略)一方、メディア戦略は「伝える場所の確保」である。
広告戦略 – MBA用語集
これから理想のアカウント構成について解説していきますが、どんなに推奨・理想といわれる構成(グルーピングや設定)であっても、広告主の目標(ターゲットユーザー)を外したアカウントでは広告のパフォーマンスを上げることはできません。ターゲットユーザーの認識がズレていると、ターゲティングとクリエイティブが誤った方向へ進んでしまい、広告の目的は達成されませんよね。つまり、ターゲットユーザーに寄り添った正しい広告戦略を反映していることが、成果の高いアカウントの前提条件なのです。
どれだけ理想的なアカウント構成であっても、極端な話、女性の服を売りたいのに男性ばかりに広告が配信されていたり、ユーザーが価格の安さしか求めていないのに品質を訴求した広告文が配信されていたりするアカウントでは広告の成果が低いのは当然だと思います。運用型広告の成果は、アカウント構成よりまず、広告戦略が正しいかどうかが重要ということです。
ちなみに、アカウント構成論として少し前に流行った1広告グループ1キーワードは、広告文とキーワードを細かく合わせられるので関連度を上げて広告品質を高めやすいこと、そしてユーザーの検索語句(ニーズ)に沿った広告文を配信しやすいことがメリットでしたが、キーワードと広告文を合わせることが目的化して、ユーザーのニーズを捉えた広告文を配信できていないケースも少なくなかったように思えます。広告グループが多いため管理が大変で、ユーザーのニーズを捉えるための広告文テストがしづらかったというのも原因です。これは広告運用において、アカウント構成を極めることがユーザーに寄り添うことより優先してしまった代表的な例だと思います。
それでは理想のアカウント構成とは?
理想のアカウント構成を一言で定義すると、広告主の目的が達成されやすいアカウント構成です。当たり前じゃん…と拍子抜けする定義かもしれませんが、広告運用とは、広告主の目的を達成するために広告費を投資し、運用型広告の機能を活用していくことであるため、運用していくアカウント構成の善し悪しの判断基準は、広告主の目的達成しかないのです。
とはいえ、広告主の目的が達成されやすいアカウント構成が具体的にどんな構成か知りたいんだよ!という声が聞こえてきそうなので、もう少し理想のアカウント構成について補足すると、
- 運用型広告の機能が最大限発揮されやすいアカウント構成
- 広告運用者が日々運用しやすいアカウント構成
という条件が揃っていれば、広告主の目的が達成されやすいアカウント構成だと言えます。
運用型広告の機能が最大限発揮されやすい構成が理想である理由
運用型広告には、入札・ターゲティング・クリエイティブという三大機能を中心に、予算や広告のローテーション設定など様々な機能があります。広告運用とは、これらの運用型広告の機能を活用して広告主の目的達成を図っていくことなので、運用型広告の機能が最大限発揮されないアカウント構成では広告主の目的を達成しにくくなるのは想像に難くないと思います。
たとえば、Googleアドワーズの入札戦略「目標コンバージョン単価」機能。指定した単価内でコンバージョンを最大限に獲得できるよう入札金額を自動調整してくれる機能ですが、導入するキャンペーン内に一定のコンバージョン数が計測されていないと学習期間が伸びたり精度が落ちたりするため、キャンペーンを細かく分けてコンバージョンデータが散らばっているアカウント構成だと自動入札が上手く働いてくれない可能性が高いです。そのため、入札戦略「目標コンバージョン単価」の機能を最大限発揮するためには、一つのキャンペーンにできるだけ多くのコンバージョンデータが溜まるようアカウントを構築すると良いと考えられます。
他にも、広告文と検索語句を合わるなど広告オークションに有利に働くグルーピングでアカウントを構築にするなど、配信サービスのルールをきちんと理解し、パフォーマンスが最大限発揮されるアカウント構成をまずは考える必要があります。
余談ですが、運用型広告の機能が最大限発揮されやすいアカウント構成を理解し構築するには、より多くのアカウントに触れ、媒体のアップデート情報やトレンドを把握していないと難しいので、運用型広告の機能として自動化が進んでも、広告代理店の価値は下がらないのではと思っています。
広告運用者が日々運用しやすい構成が理想である理由
広告運用は属人的であると言わるように、広告運用者が日々どんな運用を行うかで広告の成果は大きく変わってしまいます。広告運用者によってアカウント構成が変わるため運用型広告の機能が発揮される度合いが変わってくるのは先ほど述べた通りですが、広告運用者によって運用のPDCAの質と量が違うためにパフォーマンスが変わってしまう点もそうです。運用のPDCAの質と量が広告運用者によって違うというのは、広告運用者の経験や実力の違いとアカウント構成の違いによって生じるものですが、正直、経験や実力の違いはどうしようもありません。今は広告運用歴が1年未満の方だって、将来、誰よりも凄い広告運用者になっている可能性だってあるわけですし。そうなると、せめて運用のPDCAの質と量を高めるため、アカウント構成は広告運用者自身が”運用しやすい”構成にしておくべきなのです。
たとえば、日々の入札調整。広告グループが10個しかないアカウントと100個あるアカウント、どちらのアカウントの方が分析しやすいでしょうか?もちろん、100通りのターゲット層がいる案件がないとは限らないので、広告グループを100個に分けるのが間違いと言っているわけではないのですが、基本的には10個の広告グループの方が分析しやすいですし、入札調整のアクションも比較的しやすいですよね。
どんなに自動化が進んでも、人の手を完全に離れて成果を伸ばしているアカウントはまず存在しないです。(Googleアドワーズのスマートディスプレイキャンペーンしか回していないアカウントとかは人の手を完全に離れているケースあるかもですが)そのため、アカウントを構築する際は、運用型広告の機能が最大限発揮されやすいアカウント構成か?を意識した上で、この構成で自分は日々運用のPDCAを回していけるか?で修正を加えていけば、より広告主の目的を達成しやすいアカウント構成が出来上がっていくと思います。
まとめ
まとめると、理想のアカウント(構成)は広告主の目的を達成しやすいアカウント(構成)であり、より具体的には、
- ターゲットユーザーに寄り添った正しい広告戦略が反映されているアカウント
- 運用型広告の機能が最大限発揮されやすいアカウント構成
- 広告運用者が日々運用しやすいアカウント構成
だと言えます。理想のアカウント構成を実現するための具体的な方法や設定は、主に案件・配信サービス・広告運用者によって変わってくるため、ここでは解説していませんが、上の定義をちきんと理解できていればどんなケースでも高いパフォーマンスを発揮できるアカウントを構築できるようになると思います。